酒は地域の文化

2021年3月12日 / お知らせ

私がこの店を継いでかれこれ三十年余りになるが、自分の店においしい日本酒をずらりと並べてみたいという夢はその当初から抱いていた。

昭和58年、地元の蔵「花開」にお願いして、酒の仕込みを手伝わせてもらうことにした。

酒を売るにはまずその酒がどうやってできるのか知っておかねばならないと思ったからだ。

2週間の間、早朝から深夜まで杜氏達と一緒に寝起きして酒を仕込んだ「手間隙掛けたものなのだから、大切に売りたいと思った。」

それからというもの東京や新潟にまで足を運んで、鑑評会ばかりではなくありとあらゆる研究会に顔を出して、日本中の酒を試飲した。昭和62年に新潟清酒アカデミーを修了したのを皮切りに、平成4年には「唎酒師」になったほか、酒類管理士や酒類販売士の認定を受けるなど知識の習得に努めている。

毎年2百種類の酒を唎いて、お客さんに旨い酒を飲ませたいと勉強してきた。

酒は地域の文化そのものだ。

この連載でも繰り返し書いてきたことだが、あらためて「酒は地域の産業です。

農家がいて蔵元があり、流通を通して、小売店に飲み屋もある。

地場産業の最たるものと言えるでしょう。酒は地域の歴史です。米も水も、それを仕込む人も、地域に育まれてきたのです。

そして酒は、伝統の技が自然の中に見出した芸術なのです。微生物の力を借りて、こんなに複雑な味わいが醸し出されるのですから」。

「最終的には地元の酒に目を向けて欲しいと思います。そのためにはまず日本酒がこんなにすばらしいんだということを、みんなに伝えたい」。

小売店はその仲立ちなんだと考えている。

有限会社 小島商店(小島酒店) 代表者 小島 勝栄